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長く澄んだ夜

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今沙栄子、藤本貴行、根岸はるか、森口美香、菊地智春、千勢桐子(アミティープロモーション)、大竹崇之、川島江里奈、相良光希、小原へい太、井藤あやほ、苔縄茜、萩野春奈子、遠藤裕司(mild×mild)

【注意】
※感想が無い・雑でもご容赦下さい
※ネタばれ有り
※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な感想が多くなる傾向があります

一番のメイン軸なのは戸川兄妹と宇宙そして、宇宙の実父である橋本だと思う。
けれど、メインテーマを俯瞰してカバーしている印象(テーマに沿っているので、好きなシーンは好き)どちらかというと深堀りされたのは弘子と淳史とその周りのように思う。
特に彼らの人間関係の中心にいる弘子はいろんな表情や感情を見せるので、見ていて印象に残ることが多い。
真琴が消えても誰も困らない、だから、偉いと言うところや、それでも真琴がへらへらして(見せないだけなのか)傷つかないことで、逆に傷ついて、そこでただプライドが高いだけの人ではない、でも、自分がいてもいなくても構わないお荷物になっていることが我慢できない、彼女の人格がその流れが一番よく理解できた気がする。
淳史は傍から見れば本当にいい人。彼の優しさに甘えられないのは彼女は我儘だと特に未歩が糾弾していたし(それは彼女なりの思いやりもありつつ)、私も頭では弘子の言いたいことがわかったものの、感情が追いつかない時に淳史と大祐の電話の向こうで洗濯の話になった時に感覚的に悪寒がした。ああ、弘子が感じていたものはこういうことかと漠然と思った。最初からそれなら、それとも赤ん坊のようにまだ自分という人格がないならそれでも良いかもしれないけれど、それまではきちんとした大人の女性として生活していた弘子にその行為は吐き気がするくらい嫌だっただろう。
淳史がわるい訳じゃない、淳史はいい人だと思う。だから、最後にりんどうも彼の優しさに救われたんだろうし、でも、どうにもならないことがある。
最後に別れること、絶対に死ぬほど後悔すると言いながら弘子はわかれたけれど、その感覚はなんとなくわかる。困るだろう、昔の方が楽だったと思うだろう、でも、このままでは自分は幸せになれない、ここじゃない、ここにいたら、ゆっくり死んでしまう。そういうことだってある。
淳史が悪いわけじゃないから、彼も彼で幸せになれて良かった。弘子が1人で段差を超えていくのを手を貸さずにずっと待っていたのは、ちゃんとこれまで積み重ねてきた時間の中で彼女を理解していたからなような気がする。彼も彼で弘子に依存していて、彼女を助けることで彼も自分の居場所を守っていた。

自分としてすごく残念というかもったいないというか、自分の理解力の遅さが歯がゆかったのは、神南夫妻。彼らはふと弘子と淳史、順の相手として出てきた最後の最後で、彼らも一番近いところにいながら何も伝えていない、伝わっていない一方通行を突きつけられる。そこからが怒涛で、私の理解力では時間と共に彼らについていくことができなかった。
大祐がなぜ弘子の気持ちがわかるのか、なぜ高熱で出場した最後の試合の話をしたのかがすとんと落ちてこなかった。無力感を言いたかったのだろうか。何もできないこと、それを見せつけられること、自分なんていらないと無言で言われている状況、それがどれだけ人を追い詰めるのかを彼も弘子同様に理解して、だから、別れろと言ったのか。
大祐は本当はもっと見ていたかった。彼は必要とされないのが怖かった、だから、未歩が歩み寄ってくれることにずっと甘えて、かっこつけながら、臆病者の壁を崩せなかった。
最後の最後に少しだけ崩して、ごめんと謝った次にまとめの抽象的なシーンが入って有耶無耶になったのが私個人としてはすごくあーーーーーーーーー!!と思っていた。
彼のそういう壁をつくって他者の優しさに甘えているところは自分に似ていたし、それにああいう静の性質の大竹さんの役柄はもしかしたら初めてかもしれないからどう深堀りするのかすごく観たかった。最後の謝る前の間とかすごく好きだったからもっとシーンがあれば、きっともっと好きだったと思う。
未歩もずっと可愛らしい前向きポジティブな女性かと思えば、自分の違和感に素直にぶつけるし、否を唱えられる芯の強い女性というすごくテンプレートな女性像を印象づけながらも、大祐へのこれだけ言ってもわからないのか(正確なセリフ覚えてない・・・)という一言で彼女の不安な柔らかい部分、感情的な部分が、一気に近づいてそういう感情的な表現の瞬発力はほんとさすがだと思う川島さん。それまでよく理解できなかった未歩が迫って涙目になった、一言の力が強い。
だから、もっと観たかったよー、この夫妻。

あともっと観たかった、でも、これ以上は蛇足だったかもしれないと思うのは、順。
最初の少しちゃらちゃらした明るいお兄さんという感じは、相良さんっぽいなあと観ていた。でも、大祐との電話で現実主義的なところもあって、自分の冷たさを理解しながら、でも、自分の人生を捧げられることはできなくて、そこを自嘲していて。そのあたりで想定していた順と少しずれ始めて(どこかで脇役というのを見た気がしたので、そこまで重要な役割を担わないだろうと思っていた)合コンの話からの弘子が頭がおかしくなったという電話からの、弘子にどうしたい、自分は助けないよ、それでも別れるかと確認してから、淳史に別れてくださいのこの、このシンプルだけど、細かい別の妥協する道を全部切り払い落としての最後のそういうことで別れて下さいって、君!!かっこいいとかそういうんじゃなくて、なんと言えば良いの?いや、弘子の自立を考えてとかそういうすっごい真っ当な良い大人としての行動では絶対ないんだよ。ただただ、弘子がどう考えているかと自分がどう考えているかをシンプルに率直に伝えて、すり合わせて、なら、この道しかないよね、というこの決断という程主体的でもないけれど、受動的に流される訳でもないこの流れがやばい。あのシーンは確かにメインは弘子が自分の道を選ぶシーンだけど、裏の主役は順だった、間違いなく。

戸川家族は最初に書いたようにテーマに真っ直ぐだった気がする。
自分を必要として欲しい。宇宙は母親に行かないでと言えず、依夜も自分が生きた証を残したいと言い、誰かに覚えられるんじゃなくて絵に残したいと言い、そのために留学するのに、どこかで鉄心が行かないで欲しいと言うのを待っている。でも、自分からはそれを言わない。鉄心も優しいし、宇宙のことは自分の娘だと言って橋本を牽制しているし、でも、どこかで予防線を張っている。いついなくなられても良いように、両親のように突然いなくなっても傷つかなくても済むように。依夜くらいの存在感がちょうど良いなと思います。前に出すぎず、さらりといてさらりといなくなる、でも、どこかで彼女の面影がちらつく。
宇宙と橋本親子も宇宙と鉄心親子もそれぞれで好きなところはある。血によって繋がる確かさとそれに縋りたい気持ちが前者にあって、後者は培ってきた尊さがある。最初暖かい飲み物を差し出して来た鉄心に母親をとられそうになってお前なんて関係ないというところから懐く子役宇宙がかわいい。大人になった彼女は……なんとなく年の経過を見て危惧していたけれど、恐れていた通り、依夜も消えていた……恐れて恐れてやっと大丈夫かと思ったところでの消失に涙するシーンが彼女だなと思う。父親を恨んでいるとかどうでも良いとかじゃなくて実の親に二度捨てられたのが悲しいだけだった。
真琴は主人公なのですが、傍観者的な役割のような気がする。それぞれがふっと煙のようにいなくなれないのだと語りかけながら、それぞれの関係を見守っている。
存在感がないという設定のようですが、難しいですね。暗いだけなら千鳥がいますから、彼女と同じキャラになってはいけないですし、関わりすぎない?彼女も鉄心と同じように誰かに踏み込みすぎていなくなられるのを恐れている?千鳥だっていなくなったし。それぞれを眺めて少しだけ関わって、そういう生き方だから印象に残らないのかな?何を言われても笑っていて弘子が気持ち悪いというのもよくわかる。それが彼女が自分を守る術だったのだとしても、彼女も彼女の人生を生きるところも見てみたかった。兄妹でまた歩き出してくれればいいけれど。心配だけど、両親が生きていたらこんなに仲いい兄妹じゃなかった、それは嫌だなと話すところはほっとした。

橋本は最初の登場の仕方も相まって、夜の底にいる人々の中で、きらきら煌めきながら漂っている印象。彼のおかげで話が暗くなりすぎず、どこかの暗い夜を覗いて、戻ってきて少し休んでまた違う夜を見に行く、そんな基点となるような人だった。どこか独特な調子の話し方とか変にコメディっぽくなってなくて、自分の時間の流れで生きているんだなと。あと、言葉を選ぶのに少し止まったりするけれど偽りを言ってないという安心感。宇宙が生きていて良かった、会いたかった、依夜を受け入れたかった、でも、生命が怖かった。全部率直な彼の思いで、避けられていた宇宙にここに座りなさいと呼びかける様、それは強がりでもなんでもなく、ただ、そのまま近くに座って同じ夜空を見よう、そう語りかける姿がそのまま彼の性質を表しているように見えた。

タケルと千鳥の関係は少々SF的な部分も加えて、物語をただの現代の人間模様にしない(服装が特殊だったけれど、結局あれは地球ではないのか?)
根暗女子を演じながらどこかコミカルで、公園で寝る時に初対面のタケルに見張りを頼むとか、タケルもその世離れした雰囲気が変わっているけれど、千鳥もだいぶ変わった子だと思う。タケルがひょこっと出てきた瞬間になんだかほっこり笑ってしまったのはすごい空気感だなと思う。一言も声発してないけど、彼の人となりがそれだけでわかってしまう気がする。
千鳥が鳥ではなく犬と言っていたのがクドリャフカが大人しいから宇宙犬に選ばれたこととかけていたのかと後からわかる。暗にそのまま言いなりになれば殺されていくだけだと言っている。
1人と1人で、2人になれなかったタケルと千鳥だけれど、最後にクドリャフカを助けに行こうと、何をしても何をしなくても後悔するなら行こうと言った時は2人になれたんだという気がする。彼らのことは細かく書こうとすると難しいけれど、その感覚だけで良いのかなと。何も持ちたくないと言っていたタケルと彼を知りたいという千鳥。千鳥はなんだかんだ弱いように見えて、ここぞというところで思いきれる子だし、自分の価値基準があると思う。襲われて、それを見ても何もしなかったタケルに対して、何もしなかったことを怒りつつも、彼自身を否定することはなかった。それはある意味すごいことだ。

一番離れていて、なんで彼女はここにいるんだと思ったのはりんどう。とても苦労したそうだけれど、確かに彼女は彼女だけで彼女の物語を紡がなくてはいけなかったし、彼女の周りの世界を作らなくてはいけなかったからそりゃしんどい。そして、使い慣れず感情を乗せにくいなまり。白井さん、鬼か……と少し同情する。でも、それに不器用ながら体当たりしているのは感じる。彼女の不倫相手の子どもが心臓病でそれに罪悪感を覚えたというのもそうだけど、ここにいる人たち良い人すぎか・・・戸川兄妹も自分たちが親を殺したと思ってその償いをしたいと願っている(鉄心が依夜たちを助けたのはそれだけではないと思うけれど)りんどうもそれがあなたが抱えることか?と思う。私が薄情人間なのかもしれないけれど、罪悪感という重いものばかりを強調していたので、そこがもう少し細やかに彼女を描写してくれると嬉しかった。表面は明るいサバサバした女性だから彼女の繊細さを描ける場所は確かに少なかったんだけれど。

時間と場所が入り乱れるから、シーンが細切れでよくいろんなところに飛ぶ。その軽やかさが好きだったが、ここぞというところをもっと深く深く掘って、針のように肺に突き刺して息が出来ないそんな青色有線さんの良さが少し弱かったかなという感じがするのは残念。それができそうな要素はそこら中に転がっていたように思うから、それだけに残念。これ以上長くするのは作品としてダレるのはわかるから、なんとも難しく悩ましいところではある。
でも、神南夫妻もっと見たかった……(そこか)
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Author:幸橋
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