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息を止めるピノキオ

Aチーム
加藤ひろたか
小林未往
小太刀賢
西村美咲
堀川恵利

Bチーム
岡田怜志
江益凛
音波真隣
ニシハラフミコ
藤崎朱香

シングルキャスト
村山新
※感想が不親切、というかメモだから意味不明
※ネタばれ有り
※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な部分も有り

***
観たのはBチーム。

ゼペットとジミニーは違和感がある。というのは誰もが思ったことだろうけど。
ゼペットはピノキオに望むことを許さず、ただ1つ人間になりたいと思うことだけ強制する。だけど、最後にお前は機械だと彼の唯一の存在理由「人間になること」を否定する。そこで思う。本当はゼペットがピノキオにならせたいものは「人間」ではないのではないかと。少なくとも「人間」そのものではなく、もっと条件があるのではないかと。
なぜ、ゼペットは人間嫌いなのに人間をつくろうとするのかと思った。
なぜ、ピノキオを息子と呼び、ピノキオに父と呼ばせるのかが気になった。
ジミニーもそう。ピノキオを人間にと口では言いながら、ピノキオを自分の下においておきたい。そして、それでいて、完璧な息子をと望むゼペットと思いはずれている。
ゼペットの本心が息子という言葉に隠れているなら、ジミニーもきっと同じだと思った。どうして、彼はピノキオを「弟」と呼び、ピノキオに兄と呼ばせるのか。どうしてゼペットと同じ息子ではいけない。弟よりも子どもの方が支配している感じがある。支配欲はゼペットほどではないと言いたいのか?いや、そんな微妙なニュアンスの違いとかそんなんじゃなくてもっと決定的な何か。年齢がピノキオくらいの年頃の子どもを持つ年齢ではないとかでもない。だから、ゼペットを父さんと呼んだ時は、もう既にわかっていたことを言語化されたようなしっくりした感覚があった。
足が悪い彼がどうしてこんな辺鄙なところにいるのかも気になった。足が悪いから雇って貰える場所がなく、だから偏屈な博士のいる不便な場所しか働き口がなかったのか、それとも足が悪く冷遇された分人の気持ちの機微には敏いのか。でも、大学レベルのことも教えられるという。ジミニーは最初から謎が多かった。笑顔が多いけど、貼りつかせた笑顔はエレナの深入りを拒絶する時、愉悦はゼペットやピノキオから優位を勝ち取った時、どちらにしても歪んでいる。本を盗んだと決めつけた時にはもう笑えなくなっている。

エレナが帰ろうとするのをジミニーの命令でピノキオが止めた時、エレナの離してという言葉には従わなかった(裏では謝っていたみたいだけど)命令をきく優先順位のようなものがプログラムされているのかと思ったけど、ただ単に彼にとって「特別」と認識した存在の指示を優先しているのかもしれない。
ハサミの持ち方のシーン。ピノキオが失敗をしない存在であること、それが自明のこととしているから、ずれが生じる。事実危険がおきるかどうかではない(人間ならもちろんそれもあるけれど)向けられた相手の気持ちが、ここでは重要。恐いと思う相手を思いやる心、相手の思いを想像し、相手のために行動することが合理性よりも必要だと説く。

ゼペットの息子はどんな音を出していたのか。
ゼペットがピノキオを完全な息子にしたいと願っていたのは既に明白だった。だけど、そこでピノキオも人間になりたいのではなく、ゼペットの息子になりたいのだと明確になる。同時にピノキオはピノキオのままで良い、誰も別の誰かになれないというエレナと思いを悪意なく踏みにじる行為でもあるから、エレナも我慢ができなかった。

一貫していた訳ではないから、機械として動きとして意図していたことではないと思うんだけど、テオの瞳だけ先に動かして、そちらに顔を向ける、動き出すという動作が地味に機械っぽくて好きだった。視覚で対象物を認識してから動き出すみたいな感じで。
じんわりと静かに響く不思議に心地よい声だなと思う。だから、ピノキオに自分と行こうと手を差し伸べる時はその場所が森だからなおのこと妖精のようだと思った。でも、妖精はいたずらに人を惑わせる。
テオには特別がいないから優先順位がない。だから、どうしてピノキオがエレナを選んで(同じ機械の)自分を選ばないのかわからないのだろうか。
テオ自身よりも彼女を作った人間の思考が気になる。テオは自分の意志を優先する。でも、それは機械にとっては稀な存在なんじゃないだろうか。彼女の思考はエラーだったのか。私からすれば誰かの意図だった気がしてならない。自立した自由意志をテオが持つことを彼女を作った誰かは望んだんじゃないだろうか。なんて考える。

ゼペットは自分が弱い人間だと言った。だから、最後の最後で、人間ではなくそれが本当に意味するところの「息子」になってほしいという願いが叶って、ピノキオが本当の息子のように思える存在になったとしても、お前は人間(=息子)だと言えない。これまでのお前は機械だが呪いのように自分に染み付いている。
愚かな男だなと思いながらも彼を否定できない。私もたぶん同じ過ちを犯しているし、大なり小なり現在進行形で同じ過ちを繰り返しているんだろうと思う。彼ほど決定的な場面に遭遇していないだけで。

エレナがゼペットの矛盾、人間になりたいとピノキオに望ませながら、それを否定する矛盾を指摘してひどいと言った時に彼らの矛盾は、言葉を濁していても明確なんだと思った(作品の構成としてはこれは暗黙の了解としても自明なことなのに、明言すべきことなのかなと思ったけど、作品を通した軸となる部分だからはっきり言葉にしておいた方が良いのかもしれない)

ハンナはたぶん優秀な研究者で、現代的な言葉で言えばキャリアウーマンのような人。その割には、なんだか棘がない、意志から発せられる圧やエネルギーのようなものがない。彼女もきっと喪失を埋めるために動いていたひどく弱い人なんだろうと思う。

ピノキオを演じていた役者さんは前にも見たことがある、純粋無垢な少年をそのまま自然体でできる人だなと思ったからぴったりな配役だなと思った。でも、同時にひっかかりがほしいなという欲張りなことも思う。違和感と言ってもいい。矛盾がほしいんじゃない。でも、その違和感、引っ掛かりがきっと「演じる」という部分なんだなと思う。
エレナも同様。愛情深く、時に優しく時に厳しい、笑顔も怒りも見せてくれる。鮮烈な感情を外に放出する役柄ならきっと合うと思った。ゼペットを糾弾する時、もう終わりだというジミニーを励ます時、最後にゼペットと向き合うことがこわいと言うピノキオに自分がいると伝える時、彼女の心の底からの言葉だと思う。そこが良さだと思う。それが見たいから観に来たとも言えるんだけど。同時に、引っかかりがほしいとも思う。
君は何者なんだ?という引っ掛かり。ないものねだりかな。
エレナは事務的な背景しか無いけれど、喪失という穴がある。その穴を覗きたいと思わせる何か。ピノキオも32体目のピノキオ。でも、エレナの思い出が残っていたように、31体目までの思い出もどこかに残っているんじゃないのか。もう物言わない彼らの嘆きや苦悩が焼き付いているんじゃないか。その無言の訴えを覗き込みたいと思わせる何か。別にそんな負の部分でなくても良いんだけど。
目覚めた時に深く息を吸う感じとか最後になにかに気づいてハッと振り返るあの瞬間は好きだった。

過去の試作品たちのパーツを隠していた布はただの背景にしてはしわくちゃな布だなと思った。扱いが雑?というのもお粗末な理由だなとも。中央のライトに照らされた時の人間とかランタン?とかが影絵のようできれいだとは思ったけど、それならなおのことしわくちゃなのは異様だと思っていた。
だから、ジミニーがその布に手をかけた時にひどく嫌な感じがした。
「どうしてこの布がここにあるのか」と。



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幸橋

Author:幸橋
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ボイスドラマ・ドラマCD作品の感想メイン(時々舞台など)

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※ネタばれ有り
※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な感想が多くなる傾向があります

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