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ロ字ック10周年前夜祭企画 第十三回本公演

脚本・演出:山田佳奈

出演:
佐津川愛美/山下リオ 馬渕英里何/日高ボブ美(□字ック) 水野駿太朗(□字ック) 大竹ココ(□字ック)
東野絢香 大村わたる(柿喰う客/青年団)/古山憲太郎(モダンスイマーズ) 中田春介 千葉雅子(猫のホテル)


※感想が不親切、というかメモだから意味不明
※ネタばれ有り
※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な部分も有り

***
受けたものに対して比例する程の何かが書ける気がしない。
普通ならモヤモヤと胃にわだかまりが残るような家族のゴタゴタ、不平不満、それを受け続ける主人公を追っていく話は、いつもならどんよりと重い肩と気持ちを抱えて最後まで耐えなければいけないんだろうかと、観に行く前は思っていた。
話は大筋は想定の通りだった。父親が病気で倒れて、浮気がもとで離婚したはずの母親は父親に執着して問題を起こして、そのことを中心に出てくる人間は皆、異口同音に自分が正しい!そうでなくても、私はこんなに苦しんで可哀想なのだと声高に言い立てる。
でも、どうしてか胃に鉛のような重さは感じなかった。これでもかこれでもかと個々人のわがまま、それこそ主人公の瑞江だって、周りをどこか見下して苛立っているけど、彼女も同類で、だけど、そんな彼らを見ていても、なんだろう川を見ているようだった。川の流れ、いろんなものが流れていいくのをただ眺めている。
でも、別に共感がないとかじゃない。むしろ、共感ばかりだった。
他人の悲劇だから耐えられるのかなと最初に思った。自分のことではない他人の不幸苦しみだからそんなにこたえないのかなって。それもあると思う。でも、他人の不幸でも見てて不快だと思う気持ちは湧くんじゃないのか。
でも、「他人」という要素はなんだか強い気がした。
言ってしまえば個性的な登場人物が、バラバラに自分の色を投げるけど、わちゃわちゃと騒がしさがなかった。ばらばらに投げられたものが積もり積もって、重くなる、疲弊する、そういう経験はよくしていたんだけど、どうしてかそれも感じなかった。
これは語弊があるかもしれない。でも、言ってしまえば、多くの音声言語というものはその場限りで消えていくものなんじゃないのか。物語に対して何かしらの伏線、意味を持つものはどこかひっかりを覚える。真紀の人にしたことは自分に返ってくるという言葉とか。
でも、それこそ他人が言ったものなんてどういう意図で言ったのかなんてすらわからないことで。ああ、そうか、彼らは他人なんだと思った。
物語を構成する登場人物ではなくて、ただの他人。彼らに意図なんてものはない。この場をしのぐためのこの場限りのこの場で消えていく言葉たちなんだ。
言い方が悪いかもしれないけど、それが一番感じたものに近い。
私は他人に興味が薄い。だから、なおさら、物語を進める意図、物語のためにこんな風に存在して欲しいという意図が希薄な「他人」
彼らには作者の意思、いや、フィルターが希薄だった。
この家族をこういう風に見せたい、この作品をこう見せたい。それは言ってしまえ悪意とすら思えるような、偏見と言っても良い、こんな馬鹿騒ぎをしている家族、ほら、滑稽だろう?愚かだろう?そういうフィルターがないんだ。ないのか、それとも私が感じ取れないように隠されているのか。
他人は言葉と顔と動作と、とりあえず表面で判断するしかない。
だけど、他人に関心の薄い私はそれでは彼ら彼女たちの奥底がわからない。
これは良いことなのか悪いことなのか私にはわからない。
でも、それこそ創造主たる作者の意図は時にまるで悪意のように私を疲弊させる。でも、それがこの作品には感じられなかった。
そして、瑞江がおばさんに死んでしまえ、義姉に離婚してしまえ、そんな気もない癖にと爆発した時も流れる水を眺めているようだった。
これは、結局、夫である庸介が言っていた瑞江の本心、本質がないからなんじゃないかって思ったりする。
父親と母親が死んで、花音と父の話をして、体の関係がないことがわかって、だから、ここに来たんだとぽつぽつ思い出の話をした時に、初めて流れがせき止められて溢れそうになった。それはきっと瑞江の本心の1つ。父を信じたい、父を思って、父のことで悲しみたいということが純粋にできた瞬間だからなのかもしれない。
瑞江と庸介が怒鳴りあって、抱きしめようとする彼を何度も拒否して殴り続けた後に、庸介がぽつりと化け物と言った時に、これが理由なのかと思った。狂人扱いされていた母と同じ性質が瑞江にもある。でも、瑞江は家族だと思いながら、母のその性質を恥じていて、振り回されることにも憤りや不快や虚しさを感じていて、同じ性質を出すことを押し込めていたんだろうと思う。
それが出てくるくらいなら、同じ狂人になって父に執着した母のようになるくらいなら、庸介と離婚したい、離れたい、いなくなれと思っている。でも、本当は行かないでと思っている。

人にやってきたものは自分に返ってくる。私もツケを払う時が来るのかななんて物語として重要なセリフでなくても、私の中には残った気がする。

瑞江が怒りにまかせて吐き捨てた「なんとかなるんで」は実は真理だなと思う。離婚しようが、何しようが、人間、案外、これまで必要だったものをなくしてもそれなりに生きていけたりする。ただ、それが幸せかどうかは知らないけど。叔父の生き方なんてまさにそれだと思う。自分にとって不都合なものを捨てて生きていく。身軽だけど、その身軽さに足元をすくわれる時も来るだろう。彼のその生き方は自分にも当てはまるところがあるから、なんとなく自分の未来を見ているような気さえする。
早穂はヒステリックだけど、実はそんなに嫌いじゃない。わかりやすい分では恐くはない。自分の正当性を誇示したいだけだ。

庸介が最初に声を発したのは花音だった、ひとつひとつゆっくり教えるように話すそれは相手が年下だからなのかと思ったけど、それでもちょっと馬鹿にしているようにさえ聞こえて、でも、それは瑞江に対しても同じで。その物言いに瑞江も苛立っていたんじゃないのか。合わないテンポ、言葉を選ぶ彼、必然的に言葉が少なくなる。それはまるで口数が少なくて何を考えているのかわからない父親のよう。だから、なおさら苛立ちが募る。
庸介は瑞江がこんな面倒くさい人間でも、好きだからいたいと言う。父親も母を同じ墓にと遺言に残したのは好きだったからなんじゃないのか。
不倫をしたのは、同じように誤解を受けたか、まるで敵のように扱われることに耐えかねたのか。庸介だって、きっと、必要とされず、家族どころか敵のように罵声を浴びせられる(誤解の前はただ必要とされず何も話してもらえなかっただけなのかもしれないけど)ことが耐えられなかったから、吐き出せる誰かを必要としたのかもしれない。
叔母さんは良い人だ、それに叔父が叔母の夫が早逝してからおかしいと言うまでは歪みも感じなかった。歪みはないけど、どこか普通じゃない。そんな変な印象はは明るく人当たりの良さを出した部分と、でも、裏側の文句を言うところとどちらも明確で裏表がないように当初は見えていたからなのか。でも、もう一段階裏があった。
早穂を攻めた時が一番わかりやすい。どこかで譲歩していたけど、それを捨てて、義父をないがしろにするから義母に攻撃されるのだと糾弾する。
瑞江が兄に言いたかったこともそういうことなんだろう。最初から母を狂人として扱うから母も兄に言いたいことが言えない。男女の考え方の違いもあるかもしれない、個人の性質としても瑞江は母に似ているから母のことをまだ理解できるのかもしれない。だけど、兄は性質的にも母を理解できず、理解できないから歩みよらない、歩み寄る努力もしない。それを言いたいだけなのに、兄はわからない。
相手のことを敵だと思うから、その人は本当のことを何も話してくれない。
瑞江にとって真紀も花音も庸介もそうだ、お前たちは本当のことを何も言わないんだと言う。彼らを敵にして、嫉妬だけ投げつけるのは彼女なのに。

誰かにしたことは自分に返ってくる。
でも、真紀は、本当の真紀じゃないけど、自分の悪いところを知っていてそれでも良いんだと水に流してくれることを望んで瑞江のもとに来た。
家族も瑞江を頼ってやってくる。
心の底から受け止めていた訳ではないだろうけど、彼らのどこにぶつけて良いかわからない思いを掬っていたのは確かなんだろう。だから、彼女の思いも最後に掬ってもらった。
そういう収まりの良さをこの作品に求めて良いのかわからないけど。
そして、経験値というか他者との関わりが乏しい私がわかったように語るのも変な気がするけど(きっととんちんかんなことを書いている)
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Author:幸橋
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※ネタばれ有り
※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な感想が多くなる傾向があります

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