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グロリア

劇団ワンツーワークス #30 『グロリア』

関谷美香子、北野由大、北澤小枝子、間瀬英正、水野駿太朗、川畑光瑠、ナナ、永田涼、長谷川慎也、大原真由子、植田敬仁、東史子、長尾純子


※感想が不親切、というかメモだから意味不明
※ネタばれ有り
※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な部分も有り

***
アメリカの戯曲の翻訳だということだから、最初の欧米風の会話は予想はできていた。
あんまりジョークなのか罵りなのかわからないああいう会話はそこまで好きじゃなくて洋画を見る習慣がないのもたぶんそのせい。
だけど、意外にもケンドラのぶちかます彼女の自慢と他人をおちょくる調子、そこに乗っかるディーンとアニ、ローリンがうるさいと何度も言ってくるようなその大騒ぎは騒いでるのにあまり耳がキンキンしない。
出だしがクラシック音楽だからなのかわからないけど、音圧を調整されてCDを聞いている・・・どこか調整調律された音楽のように聞こえる。ライブ感がないとかではないんだけど、表面の会話がメインで心情とかがなかったからだろうか。どちらにしても、辟易するような騒がしさじゃなかった。
ちゃんとあらすじを読んでいなかった私はこういうコメディの話なんだっけと思う。とりあえずグロリアという女性が何かを変えるらしいけど。
ローリンがもううんざりだ死にたいと言うのを観客はケンドラたちの会話のように最初は笑っていて、でも、延々と語られる仕事への絶望にだんだんこれは喜劇ではないのではと思うようになってくる。
だから、突然の発砲は突然上限が定められたところへの音割れみたいな、リアルが予定調和に刺しこまれたというか。
突然という言葉さえ可愛く思えるくらいの突然。

可愛く振る舞って、人から好かれるように、そりゃあ鼻につくところはあるけど、周りと軋轢を生まないように世渡りしてきたアニがまるで別人のようなぎゃーと叫ぶような悲鳴を出す。

グロリアはもっとケンドラとかナンとかああいう気が強い女性だと思っていたら全然。根暗でほとんど声も発しない。ほとんど話さない内に他人から好き勝手言われてグロリアという女性が作られてやっと出てきたと思ったら瞬く間に狂気の殺人者になって自殺してしまった。
中心にいるグロリアがほとんど自分のことを話さず消えてしまった。
長い沈黙が多かった、でも、普通はローリンが言うように内にこもりがちで終わりだったけど、あの沈黙には他人が思う以上の何かが詰まっていたんだと思う。ローリンの嘆きのように。
とある歌手が突然死んでその特集が引き金になったんだろうか。また、自分たち都合で校正の自分たちを振り回す。その上、ケンドラが難癖をつけてまるっと変わりそうだ。彼女を探していたのは仕事か、すでに殺すつもりだったのか。

マイルズはアフリカの多くの人が消える話をして明日にも自分もなくなるのではと話していた。そんな彼の言葉通り、アフリカであろうとなかろうと明日、それどころか15分後には消えてしまうこともある。ディーンが本を出す前に死んでいるかもと言ったのは同じ感覚だろう。確かな生はない。

自分が書きたいことだけで読者のことを考えてない。
ナンがディーンに言った言葉、それでディーンの本は失敗した。
でも、それも間違い。読者の求めるものを書いたケンドラも、ローリンが臨時で入ったロスのテレビ会社も、描きたいのはグロリア自身ではなく、読者や視聴者が求めるグロリア。
他の人よりもグロリアの多くを知っているはずのローリンが話すグロリアを否定する。
ローリンのグロリアの話、お弁当や縫物の話は新鮮だった。そんな一面もあったのか。何もわからないまま彼女は殺人者として退場してしまったから。
でも、そんなローリンでさえ、会社がおかしくて誰もが銃を撃つ可能性があったという彼にデヴィンが言った、それならなぜ君は発砲しなかったのかにも答えてない。何がグロリアの引き金を引かせたかわからない。

ディーンとケンドラが事件後に会った時のディーンは要領を得なかった、やたらケンドラを持ち上げる、それは生き残った者同士労わり合いがあったのか、でも、彼がケンドラに要求するもの、話がいきつくところがわからないと思ったら、単に自分のことを書くなということだった。
ここには正解者はいない。あの事件は自分のものだと思っているディーンも相当だが、その場にいなかったのに、事件を自分のキャリアに使おうとしているケンドラも正しいわけではないし、そのことへのディーンの批判も間違っちゃいない。
ナンの書いた本にキャリーは涙していた、サーシャは価値があるといった。事件そのものではなく、事件を通して1人の女性の本質・人生に迫ったものだから、彼女が言ったように読者が求めるものを掴んだ上手い本だったんだろう。確かに彼女の語りには引き込まれた。編集者としてのサーシャが本にすべきだと言ったのも頷ける。
でも、ナンにはグロリアもナンも、マイルズも、誰も彼女の人生にとっては取るに足らない存在でしかない。だから、背景として書くことができたんだと思う。それが事件を中心にすえた書籍に食傷気味だった人たちには刺さっただけだ。
マイルズは微笑んでそこにいるだけだったけど、彼にも思うところがあって、だけど、生前はほとんど何も言わなかった。グロリアのように。

スターバックスの店員はセリフ自体はそこまで多くないのに、ディーンとケンドラの会話の後ろでもう1つ彼だけの物語が進行していて、口ほどにものを言うとはこのことか。それが面白かった。女性を殴っただけで男だけ出禁って過激というかフェミニストみたいだ。ああいう無垢な正義感みたいな感じは日本にはないなあなんて思ったりする。

最後にスローモーションで皆がローリンの周りを動いていて、それは主観的な光景で、そんな中で、流れる涙だけが現実と同じ速さ。

ラシャードに正しい名前が呼ばれないローリンは何者でもない。
オフィスにも入ることができなかったというそれはグロリアが撃ったこともあるかもしれないけど、元同僚たちが好き勝手書いていることの方を気にしてるのでは。ナンが何を書いたか彼は気にした。グロリアが好き放題に語られて、自分も本来とは違う自分が独り歩きするのを恐れているのでは。
彼がデヴィンに声をかけたのは、彼の質問はごくごく普通だけど、唯一、グロリアの元同僚ではなく、ローリンへの質問だったからではないのか。
グロリア事件に興味がない彼が一番まともな反応、まともな発言をする。その正常さにきっとローリンは安心したんだと思う。

キャリーはラシャードやジェンナといったネタを気にする人たちと同じで調子が良いけど、ローリンを気にかける点もある、そういう性格なんだろうと憎めない。少なくとも悪意や侮蔑はない。あってもストレートで隠そうとしないから可愛いもんだ。

共感とはなんだか違う気がする。突然現れた非日常に踊らされる人たちの悲劇に隠れた喜劇。人の業のように思える。
でも、それを他人事に思う自分は彼らと同類なんだろう。

最初と途中、最後で印象がころころ変わって、これはこうだというジャンルみたいなものをパッと言いづらい。色んなものを混ぜ合わせた感覚。
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※作品に抱いた違和感を考察する事が多いので、結果的に批判的な感想が多くなる傾向があります

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